乾燥についてポテンシャルを中心に、少しずつ加えていきます。
乾燥および乾燥機をお考えの方にとって、最低限必要と思われる知識を会得していただくための一助となれば、という目的のための 「乾燥について」 です。少しでも皆様の役に立つことができれば僥倖です。


緒言

わたしたちが最も身近に経験している乾燥は、衣類を洗濯したあとの天日干しによる方法だと思います。わたしたちは経験的に、熱風乾燥において、どのような条件が乾燥速度が大きいかを知っています。
温度が高く(=熱風温度が高い)、天気がよく(=太陽からの輻射熱が大きい)、風が強く(=風速が大きい)、空気が乾いている(=湿度が低い)、方が早く乾燥するということをです。
その経験則から、それらの条件の重要性を感じていらっしゃることでしょう。 

乾燥とは乾燥物に含有されている湿潤成分を気体への相変化を伴いながら除去することをいいます。衣類洗濯においても遠心脱水という工程の後に乾燥工程があります(それが天日であれ、乾燥機であってもです)。水分除去量としては一般的に脱水の方が多く、脱水をせずに乾燥をすることがいかに時間を要し大変であるかは自明です。ただし多義的に全てを脱水で除去することができないため乾燥工程が必要になります。
相変化という点があるから乾燥であり、広義の脱水といった場合に、その中に乾燥は含まれますが、その差異こそが乾燥を独立させているのです。
したがって乾燥機とは、その操作をおこなう機械装置のことをいいます。
相変化のためには潜熱が必要ですので、乾燥物は乾燥機から受熱する必要があります。ただし供給熱量が大きければ乾燥速度が大きいとは限りません。いかに伝熱効率を良くするかが乾燥機のもっとも大きな目的です。

また相変化した湿潤成分(=ベーパ)が、再び液体に戻らないようにしなければなりません。
熱風乾燥機でペーパを排出するのは排気ファンであり、機内の湿度の設定にあわせて排気量を決定します。
真空乾燥機においては真空ポンプが機内の真空度を維持するとともにベーパを排出します。

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水について

水の含有割合のあらわし方

水を含む湿潤成分をここでは水分ということにします。一般的に水分のあらわしかたには二通りあります。
湿量基準と乾量基準です。
湿量基準を水分、乾量基準を含水率と区別する表記もあります。
本来はともに単位をもたない値ですが、百分率であらわし[%]とするのが一般的です。

湿量基準

全体質量の中の水の質量をあらわしたものです。日常生活において水分というときにはこちらです。
     ( 水の質量 ÷ ( 水の質量 + 無水質量 ) ) × 100
ウェットベースとも呼ばれ、単位表記は[%,W.B.]です。最大値は100です。

乾量基準

無水質量に対する水の質量を百分率であらわしたものです。
    ( 水の質量 ÷ 無水質量 ) × 100
ドライベースとも呼ばれ、単位表記は[%,D.B.]です。最大値は100を大きく超えます。

相互変換

二つの値の相互変換は次の通りです。
乾量基準値 = ( 湿量基準値 ÷ ( 100 − 湿量基準値 ) ) × 100
湿量基準値 = ( 乾量基準値 ÷ ( 100 + 乾量基準値 ) ) × 100
一例として、50[%,W.B.] は、 100[%,D.B.] となります。

使い分け

この二つはどのような使い分けをするのでしょうか。 上記のことを理解されていれば、何れのあらわし方をしても問題ありません。ただし必ず単位を明示しなければなりません(W.BまたはD.B.を書くことです)。
しかし湿量基準には問題があります。分母と分子の両方に水の質量があることです。すなわち乾燥の推移に伴って変化する値が分母に使われているのです。
例えば95[%,W.B.]から90[%,W.B.] へ推移した場合と、10[%,W.B.]から5[%,W.B.] へ推移した場合に、何れも5[%]の差なのですが、質量比であらわすと大きな違いとなってしまいます。
したがって推移についての表現は乾量基準値の方が、実際の質量の減少値に近いということになります。

水の状態

ここでは湿潤成分を水と限定いたします。水は水素と酸素との化合物です。分子量は約18、大きさは約3.3オングストロームです。ただし一般の液体として存在する水は、単体および共有結合したクラスター(集合体)とで構成されており状態は絶えず変化しています。
物質中の水の状態は、自由水と結合水に分けられます。

自由水

自由水は、いわゆる通常の水のことであり、他の物質の分子と結合していない状態でいます。付着水ともいいます。
他の物質との結合がありませんので、相変化するのに特別な条件は不要です。

結合水

結合水は自由水以外の水のことであり、物質の分子と水分子が結合している状態をいいます。水和水や吸着水(帯電による)があります。水和水という表現は非常に幅広く、その中には結晶中に水として存在する結晶水とよばれる状態もあります。
最も安定した状態が水和物という物質の場合、その水を除去するためには通常以上の温度などのポテンシャルが必要になります。一般に100℃以上まで加熱する必要があり、さらに結晶水によっては500℃以上の加熱を要することもあります。
したがって状態が不明な物質の場合には熱重量分析計を使用し測定をしなければなりません。ただし分析計自体が加熱を伴うので物質によっては結果に作用する蓋然性があります。

水分活性:Aw

食品中の水と食品との結合状態を示す指標となる物性値です。
主に食品を対象として考えた場合に、乾燥の目的の重要なことに保存性を良好にするということがあります。
腐食やカビは水分の多寡によって発生するのではなく、水として活用することの可能な量の多寡によって発生します。例えば漬物類は水分が多いのに悪く変成しないのは、漬物の中の水と塩(シオ)などが結びついていてカビや菌類の原因となる微生物が、水として使用できる量が少ないためです(上記項目の結合状態、水素結合や水和ももちろん含まれます)。
つまり水分活性を小さくするためには、乾燥させるか、あるいは塩(シオ)や砂糖などの水と結合する物質を添加することになります。
数値としてのあらわし方は、密閉容器内の食品の蒸気圧と、その温度における水の蒸気圧の比であり、単位はありません(つまり水の水分活性は1.0です)。
目安として、0.7>Awであれば、普通のカビや菌類の生育・繁殖は不可能といわれています。

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温度

熱と温度

日常生活において身近な温度測定は、体温の測定だと思います。かぜをひいて調子の悪いときに体温を測定することがあると思います。そして平熱と比較して温度が高いことを確認します。ご存知の通り、わたしたち人間はウイルスに対して抵抗するため、体温を上げています。
また入浴の際には温度設定をして希望の温度にすることでしょう。風呂のお湯は数℃違うと体感的には大きな違いと感じられるということも認識されていることでしょう。
熱はエネルギーであり物理量です。周囲に比べ高い温度を持つ物質を熱エネルギーを持っている状態といいます。また温度が高いということは分子運動が激しい状態であるということです。
そしてその熱のエネルギーを数値であらわしたものが熱量であり、温度は熱の出入りによって変化する物質の状態の指標をいいます。

接触している物質AとBがあるとします。そして接触していない部位は何らかのかたちで断熱されているものとします。
AはBよりも温度が大きい場合、AからBへ熱は移動し、やがて同じ温度になります。
逆にAはBより温度が小さい場合、BからAへ熱は移動し、やがて同じ温度になります。
この場合に平衡する温度は、AとBとの各々の質量と比熱によって決定されます。
AとBとの間にはエネルギーの授受があり、その結果として温度が変化するということです。

絶対温度

天気予報などで気温のあらわし方として使われているのは摂氏であり単位は℃です。これは水を基準とし、常圧において固体(氷)から液体(水)へ相変化する点を0℃、液体(水)から気体(水蒸気)へ相変化点を100℃と設定したものです。水中心に考えられたあらわし方といえます。
対して絶対温度は物質の熱運動が停止する温度を基準とし単位はK(ケルビン)です。したがって基準以下の温度はなく、0 Kは-273.15℃です。

顕熱と潜熱

ある物体に熱量を加えながら温度を測定した場合に直線的に温度が上昇していれば、熱量は物体の温度の上昇に使われています。
しかし途中の温度において直線的な温度の上昇でなくなった、あるいは上昇しなくなったということであれば、その熱は温度の上昇に使われていないということになります。
ここで温度の上昇に現れるのを顕熱といいます。
では温度の上昇に関係していない場合の熱量は何をしているかというと、それは相変化に使われます。そして潜熱は顕熱に較べ大きな熱量であり、特に水はそれが顕著です。

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空気について

空気のプロパティ

空気は気体状混合物です。容積比で窒素78%、酸素21%、その他1%というのが標準大気の値です。この中で酸素はわたしたちになくてはならないもので18%以下になると酸素欠乏症になります。ちなみに吐息中の酸素は16〜18%といわれていますので、肺で血液と授受し体内で消費されているということです。
また空気中には水蒸気が含まれており、その割合が分圧あるいは湿度であり、したがって水蒸気を含めますと酸素濃度は21%よりも小さくなります。ただし実際に肺に届くときには冬の-10℃のときでも夏の40℃のときでも、一定(37℃,相対湿度100%)に保たれています。
密度と比容積との関係は、密度 = 1 / 比容積 で、逆数です。
乾き空気の密度 = 1.293 ÷ (1 + 0.00367 × 温度)

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