
相変化とは
物質は結合状態によって「気体」「液体」「固体」のいずれかに分類されます。
相変化とは、温度や圧力の変化に応じて、物質がこれら三相の間を移行する現象を指します。日常において三相が含まれるものは普通に存在しており、たとえば私たちの身体も約60%が固体、40%が液体、そしてごくわずかな気体(主に肺内)で構成されています。

| 相 | 表面 | 圧縮性 | 流動性 | 分子状態 |
|---|---|---|---|---|
| 気体 | なし | 〇 | 〇 | 分子間の距離は大きく、自由に運動している |
| 液体 | 〇 | なし | 〇 | 分子間の距離は小さく、配列が不規則なため位置が変わる |
| 固体 | 〇 | なし | △ | 分子間の距離は小さく、配列が規則的であり位置は固定される |
※以前は「気体⇔固体」のどちらの変化も「昇華」と呼ばれていましたが、日本では2022年から「気体→固体」は凝華という用語を用いるようになりました。
乾燥と相変化の関係
乾燥とは、「熱エネルギーにより液体を気体へ相変化させ、対象物から除去する操作」であり、熱移動と物質移動が同時に進行する現象です。多くの場合は蒸発を伴いますが、一部の材料では固体→気体の昇華が生じるケースもあります。
乾燥工程では、処理対象物の仕込段階で複数の相(固体・液体・気体)が共存しており、その中の“液体相”を効率よく取り除くことが基本となります。したがって、乾燥プロセスを理解するうえで相変化の知識は不可欠であり、適切な乾燥条件の設計にも直結します。

